最高検は十五日、裁判員制度を見据えて試行している取り調べの一部録音録画について、検察官へのアンケートの中間取りまとめを公表した。録音録画は九割以上が「証拠価値がある」とする一方、日本弁護士会連合会が求める全過程の録音録画は九割弱が否定した。裁判では取り調べDVDへの証拠価値の判断は分かれており、四月以降の本格試行では、一層の任意性の確保や撮影の工夫が課題となりそうだ。
録音録画は自白が適正な取り調べの下で行われ、信用できるものという「自白の任意性」を効率的に立証するために導入した。
二○○六年八月から○七年十二月まで、札幌や東京などの主要地検が調べた殺人などの裁判員裁判対象事件のうち、百七十件で行われた。
試行では、自白調書作成後、検察官が被告らに記載内容を確認する過程を撮影、92%が四十分未満。証拠価値は96%が「ある」とし、試行でのやり方なら66%が「取り調べ機能は害されない」と回答。ただし撮影の結果、認めていた殺意を否認するなど供述内容が変化したのは7%あった。
半面、被告への説得など、取り調べ段階も含めた全過程の撮影は88%が「すべきでない」とした。理由は「真相解明機能を害する」が最多で「効率的立証につながらない」が続いた。
試行の取り調べDVDが裁判で証拠採用されたのは四件。任意性は一件が否定、肯定された三件のうち一件が「任意性の有用な証拠として過大視できない」と判断は分かれる。
最高検は「効率的な立証手段となるかどうかは裁判例の集積が不可欠。撮影のタイミングや取り調べ方法は工夫も必要」として四月以降、全国の地検で試行する。
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