2007年6月11日月曜日

東京のタクシー運賃 政府、値上げ先送り 参院選配慮 道内に影響

政府は三十一日、東京地区のタクシー運賃の値上げ認可を八月以降に先送りする方針を固めた。当初、国土交通省が六月中に認可する見込みだったが、政府内に異論が根強く、同日の政府の物価安定政策会議でも値上げに対する反対、慎重意見が大勢を占めた。参院選への影響に配慮し、現段階での認可は時期尚早と判断した。現在運賃引き上げを申請している北海道など地方の値上げ論議にも影響しそうだ。
 東京地区(二十三区と武蔵野市、三鷹市)のタクシー業界は平均18・7%の値上げを国交省に申請。四月に続く異例の再審議となったこの日の物価安定政策会議では、委員らから「経営側は値上げして収入が増えても、本当に運転手の賃金が増えるのか」「もう一、二年経営環境をみてから判断してもいいのではないか」などの意見が相次いだ。
 国交省は物価安定政策会議での議論を踏まえ、関係閣僚会議に諮り認可する見通しだが、政府内では消費者の家計に直結する値上げは避けたいとの思惑も働き、値上げ幅が抑えられる可能性もある。
 タクシー運賃の最終的な認可権は国交省にあり、運転手の労働環境が悪化している現状などから、冬柴鉄三国交相は「値上げはやむなし」との立場。しかし、大田弘子経済財政担当相は「安易な値上げは消費者への理解が得られない」と疑問を呈していた。
 値上げが実施されれば、消費税が引き上げられた一九九七年以来十年ぶりとなる。
 タクシー運賃の値上げ申請は昨年から今年にかけて、全国九十営業地区のうち約五十地区が申請した。
 このうち既に値上げが認可されたのは長野と大分地区だけ。道内の札幌A地区(札幌、江別、石狩、北広島の四市)を含む大半の地区はまだ審査中だ。
 札幌市内のタクシー会社社長は「認可が遅れれば経営面で影響が出る」と懸念している。別のタクシー会社役員は「値上げが認められないと乗務員の待遇が改善できない」と話していた。

(北海道新聞より引用)

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